大まかに分けるとすると、お尻の痛みは、椎間板ヘルニアと呼ばれる椎間板が動いたりはみ出したりすることで神経を圧迫して出るものと、お尻の筋肉と坐骨神経の滑走不全からくる坐骨神経痛症候群があります。

　しかし、画像診断でヘルニアと診断されても、実際の原因は坐骨神経痛そのもであることが臨床上多いと思います。長時間座りっぱなしの方や、いつも同じ方向を向いて寝ている方に圧倒的に多く、場所でいえば写真上で色分けされた３か所に分けられます。

　骨盤の上と外側（赤色の部分）は、上殿神経という神経と関係があり、骨盤の外側についている小殿筋という筋肉と上殿神経の滑走不全が考えられます。

　青色の部分には梨状筋という筋肉があり、坐骨神経はこの筋肉の間か筋肉を割って出てきます（人によって違います）。この筋肉が過度に緊張したり神経と癒着すると激痛をともない、ブロック注射や座薬も全く効かなくなります。

　黄色の部分は、下殿神経と陰部神経が関係することが多く、ももにかけて放散痛やしびれをともなうことがあります。これらの神経も近くを通る筋肉との癒着や滑走不全が原因であることが多く、立ったり座ったり起き上がり時に痛みを拾いやすくなります。

　一言で腰痛といっても、たくさんの原因があります。

　青色の部分が合いたい人は、椎間関節という関節と間から出てくる神経の滑走不全や関節の運動不全が考えられます。腰骨の際に痛みを感じる場合は、まずこの部分を疑います。

　黄色の部分は腰方形筋という筋肉の筋膜の炎症、さらには上殿神経の癒着が考えられます。この神経の癒着は意外と多く、「痛いところはどこですか？」と患者さんにお聞きすると、両手でこの黄色の部分を横にさする方が多いです。

　そして、赤色の部分にあるのが仙腸関節というとても大切な関節です。上半身と下半身の重みをここで支えているため、一度ずれたり動きが妨げられたりすると強い痛みを発します。

　スポーツなどの激しい運動や重いものを持ったりしたときに骨盤の真ん中にある仙骨という骨が沈み込み、関節がずれたりします。また歪みのある方はこの関節がずれやすいので日常生活などの姿勢を気を付ける必要があります。

　当院の坐骨神経痛やヘルニアの施術は、まず原因を見つけ出すための検査と評価を行います。そのうえで、必要であれば神経と筋肉の癒着をはがしたり、滑走不全を改善します。癒着がひどいときは、正直少し痛みを伴うこともありますし、おうちに帰ってから痛みがぶり返すこともあります。ただ、この癒着に関しては、シップを張っても、注射を打っても、薬も飲んでもはがれたりはしません。物理的にはがすという工程を踏まないとなかなか改善していきません。その時は痛くても、治まれば急に症状が改善することが多いため、避けては通れない工程だと考えています（もちろん、必要のない方には行いません）。

　その後、神経の反射を起こします。神経の反射を起こすと、神経伝達が良くなって筋肉や関節の誤作動が改善されます。それだけではなく、脳から「はい、そこの関節うまく動けてないからちゃんとして！」「はい、そこの筋肉は今動くタイミングじゃないからじっとしてて！」という指令が瞬時に伝わり、動きを改善してくれます。いわば、施術家が良くするのではなく、患者さんの脳が改善へと導いてくれるのです。